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ひとりごとの言語学

ひとりごとは、コミュニケーションという言語が本来持つべき役割を果たしていないのに、なぜ使用されるのか。このゼミでは、その様々な使用例を観察し、一方で理論的な考察も行います。また、言語による違いをはじめ、ひとりごとに目を向けることで発見できる新たな課題やテーマについても考えていきます。

1. イントロダクション -ひとりごととは?- [URL]

2010-05-07 19:02:05 ID:1

第1回目はイントロダクションとして、
「ひとりごとの種類とは?」
「ひとりごとを許容する言語と、許容しない言語がある?」
などについて解説します。
言語学が専門の人も、ひとりごとに興味があるだけの人も、
ちょっとのぞいてみてください。
コメントの書き込みもお待ちしています。
(管理人)

▼ この講義へのコメント

きもとさんのコメントへの回答は講義No.3で述べられています。すべてのコメントに回答があるわけではありませんが、時間的に降順となっています。
2010-06-01 09:47:14 管理人 / ID:2

なかなか見つけないようなおもしろいテーマで,楽しんで拝見させていただきました。

言語によって独り言の多い言語と少ない言語がある,ということでしたが,もしかしたら言語間の差異と同じ,またはそれより多く,人による差異はあるように思います。例えば僕はほとんどひとりごとは言いませんが,私の祖母は「誰と喋ってんの?」と言うくらい独り言をしゃべります。ひとりごとを言うか言わないかは,言語学の問題ではなく,社会学や文化人類学とかの問題になるかも知れませんので,よく分かりませんが,その辺いかがでしょうか。
2010-05-26 01:21:37 きもと / ID:1

2. ひとりごとのデータ 日本語と中国語 [URL]

2010-05-20 18:29:22 ID:3


第2回目では、ひとりごとの具体例をみながら、中国語との比較を行っていきます。
日本人なら何気なく口に出しているようなひとりごと、
中国語でも使われているのでしょうか?

また、講義の中ではひとりごとの使用に地域差がある可能性についても触れています。
関西で使われるひとりごとも、関東では言わないかもしれない?

みなさんのひとりごと例などについても、コメント投稿をお待ちしております。
(管理人)

▼ この講義へのコメント

ID:10のまめちゃんへ

 どうやらひとりごとの多い方のようでこちらにとっては好都合です。なかには面白い例もあると思いますので、ちょっと違うなと思われる例は提供していただけれるとありがたいです。
2010-06-21 21:29:24 西光 / ID:14

ID3のまめちゃん

 関東の人数人の女性に化粧がうまくいったときに何かひとりごとを言うか聞いたところ、何も言わないという返答が帰ってきたので、関東はあまりひとりごとを言わないのかと思ったのですが、ひとりごとは個人差を大きいようですね。
2010-06-21 21:15:51 西光 / ID:11

宿題採点しながら「XXちゃんは、できるよねえ…。XXちゃん。いいよ。」
「っていうか、もう書ききれないですね(笑)」(独り言が多いのでこのサイトに全部はかけないと思って)
2010-06-21 13:49:19 まめちゃん / ID:10

ファイルをダウンロードしたら、デスクトップ上にあるから上書きするか?とPCが言ってくるが見当たらない。
「え?どこよ。どこにあるってのよ。えー? ふざけんじゃないわよ。・・・あ、ここか」(Eメール受信簿の裏側にあった)
2010-06-21 13:43:45 まめちゃん / ID:9

自分の例:
「つらい…」(体調が悪い)
「すごいね、今日は」(独り言が多い)
「いっぱい書いてあげよう」(独り言が多いのでこのサイトにコメントで書き込もうと思って)

パソコンのスリープを解除しようとしてエンターキーを押すが何も起こらない。そもそも起動していなかったことに気付いて、「だから…!」
2010-06-21 13:22:10 まめちゃん / ID:8

私は関東ですが、すごくよくひとりごと言います。かなりしょっちゅう言ってます。「えー、なにやってんのよ」など、女言葉も使いますね。「は? なんですかこれ。なにがしたいんですか。おかしいんじゃないですか」とかも言っていますね。
2010-06-07 23:33:39 まめちゃん / ID:3

3. ひとりごとの言語学

2010-05-27 22:08:37 ID:4

 コメントありがとうございます。ひとりごとは個人差があるようです。また関東よりも関西のほうがひとりごとを言う可能性が高いようです。この講義ではもっぱら関西の例を挙げていますが、関東のひとりごとのデータや情報をいただければありがたいと思います。
 男女差もあるかもしれません。
 子供や老人もひとりごとが多いようです。
 講義の最後のほうまで見ていただければ、ひとりごとをよくないこととして抑える人とあまり抑えない人がいるようです。ただ言語構造上ひとりごとの可能性がわかる場合にはひとりごとを抑えなければならないという傾向が薄れるので、ひとりごとの出やすい言語と出にくい言語が生じると考えています。そういう意味では厳密には言語学的な要因とは言えません。ただ言語構造の特性と絡まっているという意味で、言語学の周辺的な現象として言語学と心理学のインターフェイスで起こる現象だとみなすことが出来ます。まだ公開されていない部分をご期待ください。
                  西光

▼ この講義へのコメント

ID18のまめちゃんへ

 ひとりごとの場合には気をつけてみると案外たくさん言っているので驚く人が多いようです。逆にひとりごとをよく言うといっている人で実際入っていない人はあまりいないようです。ということで少々方法的には問題かもしれませんが、一応自己申告で大丈夫と思っています。言っていないひとりごとをでっちあげるケースはないと思っています。

2010-07-30 14:23:25 西光 / ID:19

独り言を言っているかどうかは、自己申告がそのまま「事実」かどうかはわからないなあ…とかんじます。「ら抜き言葉」もそうですが、「自分はぜったいに言いません」と言明していた人が、じっさいは無意識に使っているといったこともあり…。独り言を「言っていることにきづかない」人は多いんじゃないかと想像します。実態調査は、自己申告でない方法でやらないとわからないのでは、という気もします。
2010-06-29 01:33:44 まめちゃん / ID:18

そういえば、男性の言語学者(東京出身)で独り言がやたら多い人を知っています。なんで独り言が多いとわかったかというと、スカイプで話をしていて、そのまま切らずにお互いに別の作業をしてあとでまた話そう、と言って接続したままにしていたら、むこうでやたら独り言を言っていたので。それは、わたしに向かって言っていたのではないことは明らかでした。本人の論文とか実験結果について、ぶつぶつ言いながら作業していました。本人は気づいていなかった可能性もありますね。
2010-06-29 01:30:39 まめちゃん / ID:17

自分の例です。
ネットで自分のIdが思い出せず:「なんか今日は変だぞ。」
ソフトがなかなか起動しない:「早くして。」
人に渡す書類に関して:「どうせ行くんだからそんときもってきゃいいや。」
試験の配点を確認していて:「中間は、30%ですねー。はーい。」
作業中:「いいや。関係ねーなこりゃ。」
中間テストの平均点が予想より良かったのを見て:「大丈夫。期末むずかしいから。」
靴下のなかに異物感がある:「なんかやだなこれ…。あー!なんか入ってるのか」
その他:「なんだっけ、XXXを調べようとしてたんだっけ…」
「わからんね。XXXってのは、わからんね。Aさんに聞こう…」
2010-06-16 15:30:07 まめちゃん / ID:6

自分が言っていたひとりごとの実例です。
自分がやろうとしていたことでもたついていたとき。「いいから早くこれをやっちゃってくださいね。」(自分に)
コンピュータを起動したらソフトがなかなか立ち上がらない。「おい!早くしろよ。」
2010-06-13 18:37:19 まめちゃん / ID:4

4. ひとりごとで落ちる表現 ーモダリティ等との関係ー [URL]

2010-05-28 15:03:42 ID:5

第3回目の講義では、ひとりごとで言える表現と言えない表現の違いに迫ります。

「明日は休みでしたわ」や、
「だれか留守の間にきたかもしれなかった」などは、
どうしてひとりごとでは言えないのでしょうか?

女ことば、過去/非過去、モダリティの有無といった条件の違いによって、
どんなときにひとりごとが使えるのかを考えます。

今回の講義で取り上げているのはそれらの一例ですが、
より多くの具体例を考えていくことで、さらに掘り下げていけそうなテーマです。
(管理人)

▼ この講義へのコメント

明日休み、ということに今気づいた!という発見・驚きの意味をこめて、独り言で(又は独り言的に)「明日休みだったわ(↓)」と、語尾を下げて言うことはないでしょうか? 女性語としてではなく、です。
2014-09-11 20:42:35 イノウエ / ID:43

明日が休みであることを知らない他人に伝える場合は、「明日は休みでした(すみません気づかなくて)」「明日は休みだったみたいです」「明日は(じつは)休みなんですよ」などが自然に感じます。
「明日は休みでしたわ」は、相手は休みだということを知らない場合にしか使えそうにないですが、相手にそういう言い方でその情報を伝えるというのは、なかなか状況が想像しづらいです。
ちなみにわたしは50代です。わたしよりもだいぶ上の年代か、もしくは社会階層が違う人々でないとなかなか聞けない表現だと思います。

2010-06-27 21:47:43 まめちゃん / ID:16

独り言でいうとしたら、「明日休みじゃん」「明日休みだ」「明日休みだろ」といったところがいちばんありそうですが、丁寧なかたちで「えー明日ってもしかして休みじゃないですか…」など独り言でもいうかもしれません。「なんだ、明日は休みでしたよ」とかも言いそうです。

2010-06-27 21:44:41 まめちゃん / ID:15

ID:5のまめちゃんへ
ひとりごとでなくても「明日は休みでしたわ」とは言わないとのことですが、こちらは年配の女性を念頭において作例しまったものです。
 まめちゃんはどのようなかたちで同様な状況をひとりごとおよび他人に伝える場合に発言されるのでしょうか。教えていただければありがたいです。

2010-06-21 21:25:53 西光 / ID:13

ID7のまめちゃんへ

いろいろ実例をありがとうございます。これはいわば試しに思いついたことをいってみるというリハーサル的なひとりごとではないかと思います。このようなひとりごとは考えていなかったので貴重な観察だと思います。
2010-06-21 21:19:47 西光 / ID:12

自分の例:
窓の外からトラックの「バックします。ご注意ください」という音声が聞こえてきて、TVでやっていたギャグを思い出し、「ガッツ石松。ご注意ください。」(2度3度、声に出して言ってみた。)
2010-06-17 13:15:58 まめちゃん / ID:7

「明日は休みでしたわ」と「だれか留守の間にきたかもしれなかった」は,どちらもひとりごとでなくても不自然にかんじます。わたしは「〜でしたわ」は日常会話でも言いません。(こういう表現を女性が言うだろうと思っている男性が多いのは知っていますが,世代にもよるかもしれませんがこれはわたしの回りの年代の女性は言いません。)
他の場面ではふつうに言っている表現を,独り言では言わなくなる,という比較ができるとよいと思いました。
2010-06-13 19:08:52 まめちゃん / ID:5

5. ひとりごとの条件 ―遂行文、Mirativityとの比較― [URL]

2010-06-07 18:48:01 ID:6

第4回目の講義では、ここまでのまとめとして「ひとりごとの条件」について述べ、
その上でひとりごとの特質について考えていきます。

ここではそのための視点として、
「遂行文(発言によって事態が成立する文)」、および
「Mirativity(話し手にとって新情報であることを示す)」という条件との比較を行います。

それぞれひとりごとと共通している部分もあるのですが、
その差異のほうに注目すると、
ひとりごとの特質が浮き彫りになっていきます。
(管理人)

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6. 現象描写文との関係、日英語間での違い [URL]

2010-06-14 18:30:13 ID:8

第5回目では、先行研究を基にひとりごとの性質を考えます。

ひとりごとと似ているとされる現象描写文との関係は?
日本語と英語ではそれぞれ自動詞と他動詞がよく使われるが、
そうした違いはひとりごとの使われかたにどう関わるのか?
といった内容です。

なお、今回から講義のパワーポイント資料(PDF)を、
動画と併せて掲載することにいたしました。
あとからゆっくり資料を見て復習することもできますので、
ぜひご活用ください。

今回はこれまでの講義(1~5回目まで)の資料をまとめてアップしますが、
次回からはその講義ごとにアップしていく予定です。
(管理人)

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7. 英語と日本語のモダリティ ―言語間での枠組みの違い― [URL]

2010-06-23 11:23:15 ID:9

第6回目の講義では、ひとりごとを考えるうえで重要な
モダリティについて考えていきます。

英語には聞き手目当てのモダリティがないため、
英語の枠組みで日本語のひとりごとを考えると、
聞き手目当てのモダリティが考察の範囲から外れてしまうことが
問題として挙げられます。

分析に際してこうした言語間の違いをどう考慮するか、
いくつかの先行研究を参考にしながら解説します。
(管理人)

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8. ひとりごとと聞き手目当てのモダリティとの相関 [URL]

2010-07-07 10:26:58 ID:11

第7回目の講義では、前回解説した「聞き手目当てのモダリティがある/ない言語」という点を掘り下げ、
ひとりごとと聞き手目当てのモダリティとの相関について考察。
仮説を設定してひとりごとを理論的に考えるという、これまでより一歩進んだ段階へと入っていきます。

なかなか一筋縄では解決できないようですが、みなさんも両者の関係について考えてみてください。
(管理人)

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9. ひとりごとと聞き手目当てのモダリティとの相関―その2 [URL]

2010-07-09 15:59:51 ID:12

第8回目の講義では、ひとりごとと聞き手目当てのモダリティの因果関係について、考察を深めていきます。

聞き手目当てのモダリティがある言語はひとりごとが可能か?
または、
ひとりごとが可能な言語に聞き手目当てのモダリティが発生するか?

英語以外のゲルマン語を例に、言語間の相違についても触れます。
じっくりと考えてみましょう。

※ PDFで資料を見る

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10. 英語ではなぜひとりごとが起こりにくいのか [URL]

2010-07-11 18:29:58 ID:13

終盤に近付いてきた第9回目の講義。

日本語では頻繁に使用されるひとりごとですが、なぜ英語ではあまり使われないのでしょうか?

そもそも話ことばではあくまで対話が基本であり、
英語ではひとりごとは精神的におかしいというスティグマがあるようです。

ではそれを外してひとりごとを使用するには何が必要なのか。
そこには日本語と英語の枠組みの違いが影響しています。

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▼ この講義へのコメント

イントネーションのが下がる(女性語ではない)「わ」がついた「おいしいわ」であれば独り言の発言としてあり得ると思います。
完全な独り言の場面で、「わぁ〜」と、長母音の部分に感嘆(又は「やっぱり、おいしい!」と自分で納得してるような)気持ちをこめて使う気がします。
聞き手がいる場面においても、独り言的なニュアンスを残したまま使われ、「おいしい」と満足している気持ちを聞き手に伝えている場合があると思うのですが。。

2014-08-28 11:14:01 イノウエ / ID:42

11. 間接発話行為としてのひとりごと [URL]

2010-07-14 17:29:54 ID:14

第10回目の講義では、間接発話行為(発話によって事態が成立させること)という観点からひとりごとの用例を見ていきます。

「3000円貸してくれない?」
「3000円足りないなあ」
「3000円持ってる?」

みなさんなら、どの言い方を使いますか?

ひとりごとっぽい間接発話行為は対人関係における潤滑油にもなり、
学習者にとっては、異文化間コミュニケーションの重要な現象のひとつと言えそうです。

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12. ひとりごとになりやすい/なりにく文末表現 [URL]

2010-07-16 17:54:27 ID:15

第11回目の講義では、文末表現にフォーカス。

例えば、伝聞表現を取り上げると、
「彼はあの車を買うそうだ」は、ひとりごととしては言えませんが、
「彼はあの車を買うそうだぞ」にすると大丈夫です。

また、ひとりごとの発生の原因についても解説します。
子供や老人にひとりごとが多いのはなぜか?
脳科学の観点から考察します。

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13. まとめ ひとりごと研究の意味(最終回) [URL]

2010-07-19 22:17:27 ID:16

12回にわたる「ひとりごとの言語学」の講義も、今回が最終回です。

まずはこれまでの内容をもとに、ひとりごとにおける言語間の相違についてのまとめます。
そうすると大きく、

・日本語、中国語、韓国語
・英語以外のゲルマン語
・英語・ロシア語

という3グループに分けられるとのこと。
詳細は動画で確認してみてください。

また、本ゼミではひとりごとに関して、「細かい現象の観察と理論的枠組みの連携」ということを試みてきました。
これは今回の講義に限らず、あらゆる研究に対しても重要な提言と言えます。

西光義弘先生のゼミ、次回は「『する』言語と『なる』言語を考え直す」を予定しています。
みなさんからのコメント書き込みも引き続きお待ちしておりますので、是非ご参加ください。

※ PDFで資料を見る

▼ この講義へのコメント

ポストイットさんへ
つづき
 鼻歌の場合には自分の気持ちを表出したいという気持ちが働いていると考えられます。うれしいときなど。複雑なのは面白くないことがあったときにわざと鼻歌を歌って周りの人および自分にぜんぜん平気だということを説得する場合もあるでしょう。
 いずれにしても状況設定にいろいろ意味が異なるのは語用論的に分析できるはずです。

2010-10-11 12:58:12 西光 / ID:22

 ポストイットさんへ

 人や車に対して「危ないなあ」というときにもとっさのひとりごとだと思いますが、直接相手に「こら、気をつけろ」と聞こえるように言うとけんかになる恐れもあるので、わざと相手に聞こえないように言うという場合もあるでしょう。相手に聞こえるように言う間接発話行為の逆だとみなすことも出来ます.

2010-10-11 12:56:27 西光 / ID:21

独り言とても興味深いテーマでした!!

ふと思ったのは自転車に乗っている最中とか独り言が多い気がしますね。(例えば人や車に対しての「危ないなぁ」とかなにかしらの環境的要因から急に鼻歌とか歌いだす行為とか)鼻歌も独り言ですかね?

先生の見解とかお聞きしたいです!
2010-09-14 18:49:50 ポストイット / ID:20